Playstation2 用ゲーム「鬼武者TM」のオープニングムービーから、ハイライトシーンの一つである約2000 人もの兵士が戦いを繰り広げる合戦シーンの制作過程を紹介します。

*「鬼武者」のオープニングムービーはSIGGRAPH 2000(米国)AnimationFestival にて Best of Show を受賞しました。

佐藤嗣麻子監督が望んだのはリアリティーのある合戦シーンでした。しかも、戦闘をリアルに描くには、兵士同士の絡み合いがリアルに描かれなければなりません。そこで複数の役者を同時にモーションキャプチャーをする試みが行われました。鬼武者では最大6人の同時収録が行われています。
複数人数によるモーションキャプチャー

CGによる映像制作の場合、絵コンテを作成し、それ以外の無駄な部分は極力制作しないのが一般的です。ところがこのシーンでは監督と役者、スタッフが殺陣のアイデアを現場で出し合い、さまざまなアクションをその場で組み立ててゆく方法で行われました。役者ひとりひとりに性格設定がされ、短くもストーリーのあるアクションシーケンスとして、数十パターンものシーケンスが収録されました。

大量にキャプチャーされたデータから、実際に使用するアクションを選択するためにラフなモデルにキャプチャーデータを割付けました。この段階で使用するアクションを選別しているのですが、このようなモデルでも怯えている様子や、激しい気性など役者の演技が十分に伝わってきます。
ラフモデルでアクションを選んだ後は、本番用のフルモデルを割り当て、最終的な確認をします。
ラフモデルに割付けられた
キャプチャーデータ
本番用のフルモデルに置き換えて確認

使用するアクションが決まると、それらをレイアウトするのですが、見渡す限りの兵士という莫大な人数を配置しなければなりません。ランダムに配置してしまうと、兵士同士が重なってしまう可能性があるため、次に説明する方法で配置を行いました。
各アクションシーケンスにおいて、兵士がどのように動きまわっているを調べるために、真上からレンダリングした画像を全フレーム分合成しました。
兵士の移動と設定されたアクションエリア
合成結果から兵士の最大移動エリアを調べ、このシーケンスのアクションエリアとして設定します。このエリアに他の兵士が入り込まない限り、兵士同士が重なることを避けられるわけです。このようにして各シーケンスごとにアクションエリアを調べ、レイアウトはこのエリアの形状を元に行いました。
エリア同士が重ならず、また繰り返しが分らないように手作業でレイアウトを行っています。
各シーケンスのアクションエリア フィールド内に埋め尽くされた
アクションエリア


フィールドを駆け抜けるカメラ
乱戦の中を駆け抜けるカメラに合わせ、各シーケンスのタイミングを調整しています。カメラが通る時に、もっとも見せたいアクションが見えるようにアニメーションオフセットを設定しています。

なにしろ莫大な人数です。とても一度にレンダリングできるデータ量ではありません。普通ならレイヤーに分けてレンダリングするところですが、莫大な人数のデータをカメラからの見え方でレイヤー分けをするのは非常に手間がかかります。そこでレンダリング時に奥行き情報(Z情報)も同時に書き出し、Z合成を行っています。そのおかげで、前後関係を考えずにブロック単位でレンダリングすることができました。
兵士以外の雨やスモーク素材なども別素材としてレンダリングし、最終的にAdobe AfterEffects で合成して完成しました。

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